2011短答(鑑定理論)の解説


2011年の短答試験が終わり、TACとLECから解答速報が発表されました。

http://www.tac-school.co.jp/sokuhou/kantei/index-t.html
http://www.lec-jp.com/kanteishi/juken/


会社で受けた人が1人いて、鑑定理論でかなり解答が割れているから教えてくれと言われたため、解答が割れている問題だけをコピーして家で基準を見ながら解いてみました。(来年は問題が手に入らない可能性が高いです。)


せっかくなのでホームページでも割れる原因となっている選択肢について解説してみます。
正確性の保証はできませんが、ボーダー付近の人などの参考になれば幸いです。


間違い等があればこちらからご連絡頂ければ幸いです。
なお、基本的に回答が割れている(であろう)選択肢以外はチェックしていません。


問題6
TAC:5 LEC:1
選択肢としては、ロが正しいかどうかで割れています。

ロ 地域要因には、時の経過にともなって変化し得る要因と変化し得ない要因とがある。前者の例として「商業施設の配置の状態」「情報通信基盤の整備の状態」等が、後者の例として「都心との距離」「洪水の発生の危険性」等が挙げられる。

私は、下記の点でロは誤りだと思います。
・基準では地域分析(6章1節)において「地域要因も常に変動するもの」と記載がある
・時の経過に伴い、都心の範囲や場所は変化する可能性がある(長い目で見れば京都から移転していますし。)
・時の経過に伴い、気候や河川の水位等が変化し、洪水発生の危険性が変化する地域もありえる(川が枯れることもありえますし)

よって、解答は5です。


問題7
TAC:1 LEC:4
選択肢としては、イとニについて意見が割れています。

イ 宅地に土壌汚染が存する場合、通常、その利用に際して汚染の除去が行われる。したがって、この要因は、汚染の除去に要する費用の発生を通じて、その宅地の価格形成に重大な影響を与える。

ニ 土壌汚染の除去に要する費用が、汚染除去後の状況を想定して求めた宅地の価格を上回る場合であっても、その宅地に価格の生ずることがある。

私は、イはどちらでもありえ、ニは正しいと思います。

イについて
・「通常」汚染の除去が行われるとまで言えるかどうかで判断が別れる。(除去せずに拡散防止の措置等もありえ、除去されず利用されている宅地もたくさんあれば、原則除去すべきという理解もありえるし汚染の程度にもよる。)
・問題文や基準や実情からは判断できないので、どちらともいえない(作成者のレベルが低い)
・なお、土壌汚染対策法で「通常除去すべき」のような記載があるなら、正しいとなる可能性が高いが調べてはない


ニについて
・一部がひどく汚染されており、除去に多大な費用がかかってしまう、広い土地を例として考えると、
・汚染がひどい周辺を利用せず(または費用が少ない処置で)、利用可能な部分を利用し価値が生じ得る。
・よって誤り。除去でだめでも、その他の措置や利用制約で価格が出る可能性はありえる。

よって、ニが正しいので、解答は1だと思います。(訂正しました。)


H23.6.6 追記
誤りと正しいを勘違いして記載していので修正しました。(ご指摘いただきありがとうございました。)


問題21

TAC:2 LEC:1
個数問題です。

イ 基準のとおりで正しい(宅地の継続賃料に準じるため)、ロ 明確に誤り、ハ 「標準とし」が抜けているので誤りであるため、ニで割れているのではと思います。

ニ 差額配分法における「実際実質賃料」とスライド法における「現行賃料を定めた時点における実際実質賃料」とは、必ずしも一致しない場合がある。

私は、正しいと思います。
差額配分法の実施実質賃料は、現時点のもの、スライド法の現行賃料を定めた時点における実際実質賃料は過去時点のものです。

実際実質賃料は、支払賃料+一時金の運用益等(7章2節から)で求められます。
支払賃料や一時金の額は同じでも、現時点と過去時点では、運用利回りが違う可能性があるので、一致しない場合もありえます。

よって、解答は2です。
※もしかしたら、ハで「標準とし」が抜けているが、項目としては正しいので正解なのではと意見が割れているのかもしれませんが、過去問の価格の求め方では、標準や比較考量が違えば不正解になっていたと記憶しているので、おそらく誤りでしょう。


問題22
TAC:3 LEC:5
選択肢ニが正しいかどうかで意見が割れています。

ニ 依頼者と関与不動産鑑定業者との間の特別の取引関係に関し、売上額の割合その他の事項を明らかにしなければならないのは、当該依頼者からの売上げが当該不動産鑑定業者の売上において過半を占める場合である。

私は、どちらでもありえるが、誤りだと思います。
・基準の例示としては正しい。ただし、売上げの過半は一例であるが、一例でしかない。
・つまり「~場合である」が「~場合(のみ)である」か「~場合がある」のどちらかで異なる。
・どちらでも取れる(出題者のレベルが低い)が、ホ(~の場合には、明らかにしなければならない)と記載方法が反対であり、一例を知っているか聞くならホ同様の記載をするはずだと思えば、他にもあり得ることを理解しているかを問う趣旨かな?とも思える。

よって、解答は3(or5)だと思います。


問題24

TAC:4 LEC:3
単なる選択問題で解答が割れています。

3 戸建て住宅地開発素地の取引事例とマンション開発素地の取引事例をそれぞれ多数収集することができた。取引事例比較法の適用にあたっては、対象地が第一種中高層住居専用地域に該当することを考慮して、マンション開発素地の取引事例も採用した。

4 市場分析の結果、賃貸用不動産の開発や運用を企図する需要者の存在は認められなかった。そこで、土地残余法は適用しないこととした。

わたしは、4だと思います。

3 最有効使用が異なれば需要者も価格形成要因も違います。戸建住宅地開発素地の事例が多数収集できた中で、採用するのがどうかと思います(規範性が劣るものをあえて採用している)。また、行政上の用途地域と、地域の範囲や実情は一致しないため、第一種中高層住居専用地域であることを考慮してという理由も誤りです。

4 需要者がいなければ、要因資料や事例資料が収集すらできないため、適用できません。

よって解答は4です。


問題27

TAC:4 LEC:1
選択肢ニが正しいかどうかで意見が割れています。

ニ 現行の定期借家契約の残存期間は半年しかないため、将来の家賃収入が不安定である。したがって、現行の定期借家を所与とした場合の対象不動産の価格は、残存期間が長い定期借家や更新可能な普通借家を想定した場合の価格と比べて低くなる。

私は誤りだと思います。迷う理由がよくわかりません。

・反例としては「現行の賃料が市場より著しく低い場合」
・この場合、確実に半年後に契約終了が見込める現行の定期借家契約を所与とした方が価格は高くなり得る。

よって解答は4です。


問題35

TAC:1 LEC:5
個数問題です。

イロニホが明確に誤りなので、ハで意見が割れているのだと思います。

ハ 証券化対象不動産が一括で賃借されているホテルで、プロパティマネジメントフィーが著しく少額の場合には、代わりにアセットマネジメントフィーを費用計上する場合もある。

私は、正しいと思います。

・基準では、アセットマネジメントフィーは個別不動産に関する費用以外ものは計上しないとされている。
・よって、個別不動産に関する費用が含まれている場合には、計上する必要がある。
・ホテルの一括賃借なので、プロパティマネジメントフィーが低いことと整合性もあるが、
・プロパティマネジメントフィーが通常の一括賃借での管理業務分と比べて著しく少額の場合は、プロパティマネジメントフィー見合いの分がアセットマネジメントフィーに計上されている可能性も当然「ありえる」ので、費用計上する場合も「ありえる」。
・また、選択肢ロとの比較では、あえてアセットマネジメントフィーの括弧書きを外している。

よって解答は1です。


感想

解答が割れていると言われた際は、毎年2~3問は割れるもんだと返答したのですが、ここまで割れているとは思いませんでした。疲れました。

出題者のせいで解答が割れるものだと思っていましたが、そうでもないかもしれませんね。

もちろん私が正しいとは限らないわけですが、プロである予備校が、どんな体制やレベル感で解答速報を作っているのかな、とも少し思います。(主にLECですかね。)

それでは、皆様の良い結果を期待しています。


2011/5/18